訃報・内記稔夫さん

現代マンガ図書館館長・内記稔夫さんが1日に74歳で亡くなられました。


私設の漫画図書館を通じて、漫画文化への貢献はかなりのものかと思います。

図書館の場所が東京なだけに、他地域の人間には遠い存在ではありました。

私など、関西人で、引き籠り体質で、貧乏体質で、と三拍子揃ってると
その隔たり感は実距離以上だったようです。

でもね
昔…一度だけ入館した事があるのですよ。
横山先生の色紙が飾ってありました。
階段上り口に古書の販売イベント用目録チラシが置いてあり、文字ばかりのチラシ上部にガオーポーズの鉄人の全身絵が表紙代わりに掲載されていました。

その日、館内にはあまり…いえ、ほとんど客の姿が見受けられませんでした。そのなかで
一人の客(?)がおられ、窓際席で資料整理をするような姿が印象的でした。
きっと漫画資料関係の編集さんかライターさんかも…
なんて妄想したものです。

一時は各地に幾つか存在した私設漫画図書館…
一つ消え、二つ消え…
決して楽な経営ではないだろう事は想像に難くない…
東京と云う地の利があったとはいえ続けて来られた事は意義深いと思います…
そのおかげもあって多くの漫画資料本が世に出られたのではないかと思います。

ただね
資料としての本は残っても
語り部としての人材が亡くなられた事は
たいへん残念なので御座います。

近年、漫画と漫画事情を体現し、語り次ぐべく世代の記憶が消え行く時代を迎えています。

体験世代の証言でさえ、
個人の主観や捉え方で、正確さにバラつきがあると云うのに
体験なき世代の時代に入るとそのプレ巾が拡がるのは明白で、
現時点でも既にネット情報等での間違いが見受けられ、拡散し根付く様は、はなはだ気持ち悪いものであります。


だから、
だからね…

今、語って欲しいのです。
懐漫体験世代の評論家に留まらず、
現場の実際を知る、当時のアシスタントさんや編集者、漫画家さんも、漫画文化の事実情報を少しでも多く語り、書き残して欲しいのです。

語れるうちに…。